元銀行員が教える経営に関するアレコレ①

こんにちは。マッスル経営塾の大久保です。

私は以前、銀行融資に携わっておりました。今回は「銀行員が決算書のどの部分を見ているか?」についてお話ししたいと思います。

最近は、事業性評価なども取り沙汰されておりますが、銀行融資審査の最大のポイントは「貸したお金が返ってくるか?」という点、その判断基準が財務内容となります。銀行融資の審査において、財務内容の審査つまり「財務分析」に最も時間を割いています。

銀行取引状況と銀行融資審査

銀行融資の審査においては、他行との取引状況を非常に気にする傾向があります。他行との取引がスムーズにいっていれば、一般的には融資審査も前向きなものになります。

主力行の動向には特に注視

複数の取引銀行がある中で、主力行の動向は非常に気になるところです。主力行が融資に慎重な姿勢であることが伺われたり、担保の設定など保全を固めている姿勢が判明した場合には、主力行以外の銀行は新規の融資には慎重になります。

主力行は、その他の取引銀行に比べて融資先の信用状態をもっとも詳細に把握していると考えられるからです。そのような主力行が融資に消極姿勢であったり、既存の融資の回収保全を強化したりすることは、その融資先の企業の信用状態が悪化していることを示すからです。企業側としては主力行とは十分な意見交換を行い、極力良好な関係を継続することが大切なことなのです。

なお明確な主力行が判然としない企業もあります。そのような企業はいざという時に手を差し出してくれる銀行が期待できないわけですから、資金繰り面に不安が残り、積極的には融資をしづらいというのが銀行員の心理です。

さらに主力行の交替にも銀行は注意を払います。主力行が交替するというのは必ずしもマイナスとは限りませんが、従来の主力行が消極方針の中で、新たな銀行が主力行になった場合などは注意を払います。

財務分析と銀行融資審査

財務分析は銀行融資審査においてもっとも時間をかけて行う項目であり、融資審査の中心となるものです。財務分析を通して融資金の回収可能性をおおよそ判断するわけです。財務分析は貸借対照表と損益計算書の分析が中心となります。

貸借対照表も損益計算書もともに融資先企業の過去の成績を示したものです。一方で融資の回収可能性は将来の融資先の業績に左右されます。したがって財務分析で将来の業績を予想することは適切ではないと思われがちですが、過去の成績を基にした財務分析によって、企業の収益の動向や資産・負債バランスなどの構成を知ることによって、ある程度将来の姿を予測することが出来ます。また将来の姿を予想することは誰しもが困難なことですから、過去の実績を基にして判断せざるを得ないとも言えます。

1)財務分析
財務分析を行う際に必ず決算書の内容が正しいかどうかチェックします。最初に決算書のデータをそのまま入力して異常値が出ないかどうかチェックします。

決算書データを入力して粉飾のチェックをする
*経常収支比率はあまり粉飾の影響を受けない財務比率
(1)経常損益比率と経常収支比率の差を見る。(3期分)
※経常損益比率=売上高/(売上原価+販管費+営業外費用ー減価償却費)⇒こちらは要するに損益計算書上の収支になります。
※経常収支比率=経常収入÷経常支出×100%⇒キャッシュフロー上の収支になります
⇒20%以上開きがあれば粉飾を疑います

(2)経常運転資金の対比で粉飾額を把握する。
当期経常運転資金ー(当期平均月商×前々期経常運転資金回転期間)
※経常運転資金回転期間=経常運転資金÷平均月商
※経常運転資金=売上債権+棚卸資産ー買入債務
※売上債権=受取手形+割引手形+譲渡手形+売掛金
※買入債務=支払手形+譲渡手形+買掛金
⇒数式から見ていただきます通り、会社の売上などが大きく変わらない限りは通常であれば差がでないはずですが、差が出ればほぼ2期分の粉飾額に相当します。

そのような数字をチェックしながら修正貸借対照表、修正損益計算書を作成し、実態ベースの決算書に修正します。

実態バランスシートの作成方法
銀行において、実態バランスシートは、以下のとおり貸借対照表を修正して作成されます。
1.回収不能の不良資産がある場合は、回収可能額に修正
2.時価のある資産については、時価ベースに修正
3.粉飾決算で実態と乖離している資産は、実態ベースに修正

そこで実質的に債務超過になっていないかをチェックします。
御社の決算書は銀行にどのように見られているか、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

現在、マッスル経営塾では無料のカウンセリング体験を行っております。お気軽にお問い合わせください。

【体験メニューをご希望の方はこちらから】
まずは無料カウンセリングからお気軽にどうぞ。
※原則として、体験ご参加希望日の2週間前までにお問い合わせくださるようお願い申し上げます。

    必須ご希望の体験メニュー

    必須会社名

    任意役職名

    必須お名前

    必須メールアドレス

    任意電話番号

    任意お困りごと

    任意ご希望の日時【複数選択可】
    (無料体験ご希望の方のみ)

    任意メッセージ

    必須お読みになりましたら、チェックを入れてください。


    【この記事を書いたトレーナー】大久保 俊治

     

    TOP